南国Breath

南山国際の閉校に関して

南山国際の累積赤字について

 南山国際の閉校の一番大きな要因は、その累積赤字である。学園の説明によると約75億の累積赤字が存在している。普通の学校法人であればこれだけの負債を抱えれば、とうに閉校していてもおかしくない。しかしながら、南山学園は現在では幼稚園から大学院までを抱える大規模な学校法人である。今まで法人全体でこの赤字は事実上補てんしてきているので、やってこられたと思われる。また、この累積赤字の多くが減価償却費である。減価償却費は将来の建物の建て替えなどのために積み立てられるもので、これを除けば、毎年の赤字額は1億円未満となる。南山国際の設立当初(1993年)より赤字は続いているが、学園もそれが法人全体で吸収できることを理解していたはずである。そのことは、今までの理事が、「赤字ではあるが、そのことを理由に南山国際をつぶすことはない。」と言及していたことからもうかがえる。

 ではなぜこの期になって南山学園は閉校を決定したのだろうか。それは、学園が財政的な危機感を持ったからではないだろうか。学園は、今回の閉校には関係がないと説明しているが、デリバティブによる損失が総額で229億円でてそれを返済した。これは財政的にも大きな損失である。また南山大学は瀬戸キャンパスを閉鎖し理工学部総合政策学部を名古屋キャンパスに移転する。瀬戸キャンパスは2000年4月に開設された。16年間しか瀬戸キャンパスは使われていない。当然、16年間に積み立てられた減価償却分では名古屋キャンパスでの建設費用としては十分でないことが考えられる。このようなことが今後とも起こる可能性が否定できないため、恒常的な赤字を続ける南山国際を閉校することを決定したのではないだろうか。

 ここ数年、大学の都市回帰が行われてきている。東京だけでなく、愛知県でもいくつかの大学で名古屋市内キャンパスへの移転が行われている。少子化に伴い、受験生も年々減少しているにも関わらず、大学の定員数は変わっていない。そのため、私立大学の半数以上が定員割れをおこしている。受験生も有名大学、いわゆる偏差値の高い大学を目指すため、受験生数が減れば、そういった大学から定員が埋まっていき、その下の大学は、定員を埋めるためによりレベルの低い学生を入れざるを得なくなる。今までと同じやそれ以上のレベルの学生を確保するためには、より魅力的な大学であることが必要となり、大学以外に何もない地方よりもアクセス便利な都心への回帰が行われるようになった。南山大学も同様な判断をしたのであろう。

 つぎに、南山国際の閉校が大学にあたえる影響について考えてみたい。